研究留学 Advent Calendar 2017 4日目の記事です。
僕は今年からアメリカのCarnegie Mellon University (カーネギーメロン大学) の修士課程に留学しています。
- いつ行ったか: 2017年7月-
- どこに行ったか (組織など): Carnegie Mellon University (CMU), School of Computer Science, Language Technologies Institute (LTI)
- 何をやったか: 自然言語処理 (natural language processing; NLP) に関する研究
- どうやって行ったか: 2016年12月にアプライ→2017年2月にオファー (経緯については奨学金のサポートを受けている財団のサイトにもまとめています)
LTIは世界でも稀な自然言語処理に特化した研究所で、30人を超える教員と200人くらい (?) の学生が所属しています。LTIのプログラムで履修するコースは基本的にすべて自然言語処理に関わるもので、僕にとっては夢のような環境です。最初の学期の感想は、以下に (おそらく今月中?) に公開される報告書の中に書きます: 船井情報科学振興財団 – 留学報告書
さて、CMUといえばComputer Science (CS)、そしてCSに関係する皆さんは御存知の通り、CSといえば中国人とインド人の人口が高いことで有名です。CMUのCS学部が入っている建物付近、もっと言うとCMU周辺はやたらアジア人が多く、明らかに街のダウンタウンと違った雰囲気を持っています。
CMUの大学院生は半数以上が留学生で、その半数以上が中国人です。僕が所属するLTIの学生は4割程度が中国出身で (中国語話者という括りだともっと多いかもしれません)、その次に多いのがインド人、その次がアメリカ人、という印象です。日本から来ている学生は僕を含めて4人です (余談ですが、なぜかそのうちの3人は中国語が理解できます)。
地域ごとに言語がかなり異なることもあってインド人はインド人同士でも英語を話していることが多いですが、中国人は中国語を話します。はじめてLTIに来たときはここは中国かよと思いました。昼時になると共有スペースは中華料理の匂いでいっぱいになります。
僕は中華料理が好きで学部時代に練習した結果、中国語が多少話せるようになりました。アメリカに来てからも中国人とばかり交流しているおかげで、この数ヶ月で英語は大して上達しませんでしたが中国語はちょっとうまくなりました。
この記事では、そんな僕からの視点でCMUの中国人コミュニティを紹介します。
1. 微信グループ
CMUには微信 (WeChat; LINEのようなアプリ) の中国人グループがあります。僕も新入生グループのうちの一つになぜか入っているのですが、登録学生数は現在434名で、週に2,3件はルームメイト募集や部屋のsubletの案内、中古家具の売り出し情報が流れてきます。留学生はこういう情報をうまく活用して生活費を節約しているようです。下の画像は昨日流れてきたsubletの案内です。
他にも中国人の学生会が主催のカラオケ大会があったり、Black Fridayに合わせた買い物イベントがあったり、なんだか楽しそうな案内が時々流れてきます。※Pittsburghには日本人コミュニティもあり情報交換もまあまあ活発です。
2. 食事
Advent Calendar 2日目の記事に書かれている通り、口に合う飯を見つけることは海外生活において非常に重要な問題です。その点中華料理は世界中だいたいどこでも食べることができるので困ることはありません。大学の近くにも中華料理店が何件かありますし、Pittsburghにはチャイナタウンはないものの中華料理店が集まるエリアはあります。
中国人留学生の多いCMUには昼と夕方に中華弁当のデリバリーが来ます。そこで直接買うこともできますが、あらかじめWebサイト (例) で予約しておくこともできます。中国人留学生はふつうWebではなく微信で店にメッセージを送って予約します。学校に売りに来る数時間前までに店に直接メッセージを送っておけば、自分の弁当が確保できるという仕組みです。店によってはまとめ買いの割引サービスがあります。クオリティーはそこそこで、僕の友人のランチはたいていそこの弁当です。
3. 論文読み会
毎週、LTIの中国人学生が中心となってdeep learning関係の論文を読むグループが開かれています。毎回2,3人の学生が最近arxivに公開された最新の論文を紹介します。例えば先週紹介された論文は
- Tracking the World State with Recurrent Entity Networks
- Cold-Start Reinforcement Learning with Softmax Policy Gradient
- Dynamic Routing Between Capsules
でした。どれも最先端の内容です。紹介される内容は言語処理に限りません。Deep learning関連の研究は流れが非常に早いので、自分の研究課題に取り組みながら重要な論文をもれなく読むのはふつう不可能で、こうして誰かと情報共有できる機会がとても重要です。
毎回全員が来るわけではありませんが、参加している学生は他学部から来ている人も含めて69人で、所属グループを超えた活発な議論が行われています。そこから研究のアイデアが生まれることもしばしばあるようです (指導教員が異なる中国人学生同士がときどき共著論文を出す理由のひとつ)。中国人同士なら中国語で議論できますし、研究の効率も相当高まるはずです。
まとめ
この記事ではCMUの中国人コミュニティのごく一部を紹介しました。たぶんCMUに限らないと思いますが、中国にルーツを持つ学生が非常に多いので、アメリカでの生活から研究まで幅広い点で中国人同士の助け合いが見られます。
そんなわけで、アメリカに留学する際、英語だけで満足せず中国語も練習して来るといろいろと捗ると思います。